千葉県におけるゲノム医療実現に向けて 〜千葉大学未来医療教育研究機構とかずさDNA研究所による千葉大―かずさゲノム医学イニシアチブの開始〜
かずさDNA研究所と千葉大学は、個別の基礎分野で多くの共同研究を推進してきましたが、地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)「かずさ・千葉」(2009年〜2014年)において連携して研究開発を実施し、免疫・アレルギー疾患克服に関する研究で高い評価を得ました。
また、千葉大学は、文部科学省の国立大学改革強化推進補助金などの支援をもとに、千葉大学未来医療教育研究機構を設置して医療系(医学、薬学、看護学)の研究機能強化、研究組織ガバナンス改革を進めています。
このような活動の中で、かずさDNA研究所と千葉大学未来医療教育研究機構は、これまでの研究成果の千葉県における医学研究の発展とその臨床活用に向けて、人事交流も含めた密な連携関係を構築していく包括的な共同研究契約を2015年5月に締結しました。
2015年4月には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が発足し、重点事業のひとつとして「ゲノム医療の実現」があげられるなど、ゲノミクス解析研究者と医療従事者が協力したゲノム医療の発展に大きな期待がもたれています。
千葉大学がこれまでに行ってきたがん、免疫・アレルギー、各種疾患に関する研究とかずさDNA研究所がこれまでに蓄積してきたゲノミクス解析技術を統合して、ゲノム医療の実現を加速するために連携研究室をかずさDNA研究所内に設置し、ゲノム医学に対する新しい取り組みとして「千葉大—かずさゲノム医学イニシアチブ」を開始することになりました。
「千葉大―かずさゲノム医学イニシアチブ」における活動
(1)喘息などの難治性アレルギー疾患の治療法の研究開発
アレルギー炎症の発症メカニズムには、体の中の様々な細胞が作りだす多くのタンパク質が関わっていることから、患者の全ゲノムレベルでの遺伝子発現解析を行い、疾患に関わるタンパク質を特定し、詳細な発症機構の解明と治療法の開発を目指す。
(2)疾患iPS細胞の機能及び品質解析
疾患メカニズム解明や創薬開発において、貴重な研究材料となる患者由来の疾患iPS細胞作製の際に変異が生じると、研究結果のミスリードにつながる可能性があることから、こうした変異の有無をゲノムレベルで解析する。
(3)がんゲノム解析に向けた基盤整備
がん研究では、ゲノム情報と疾患との関係が詳細に研究されてきており、今後のがん診断やがんの最適治療方針決定のための患者のゲノム・エピゲノム情報活用に向けた基盤を整備する。
(4)若手研究者の育成
ゲノム医療の実用化・社会実装化に不可欠な人材の育成を図る。
(5)共同での外部資金獲得
<詳細については以下の資料をごらんください>